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2018年7月 3日 (火)

ライヴァル話のオマケ

前回の弁理士の日記念企画投稿の続き、というかオマケです。

特許調査におけるライヴァルと言われると、AIという最近はやりの議論を思い出す人も多いと思います。でも調査屋にとってAIはライヴァルなのでしょうか?

確かに「○○は××である」と書いてある資料を抽出せよという命題に対しては、AIの方がはるかに効率的かつ大量に文書を処理する事ができるので人間は全く太刀打ちできないでしょう。でも○○は××であると「解釈し得る」資料が欲しいというのが命題だったら、AIがちゃんと文章を解釈して適切な資料を抽出するという確証が持てないのではないでしょうか。ましてや昨今よく依頼されるような「今度販売する化粧料の成分表を渡すから、特許的に大丈夫か確認して」というような侵害調査をAIが自動的に処理できるようになるとは思えません。

特許の仕事では必ず「解釈」の問題が発生します。しかしAIは人間がやるようなファジーな解釈をすることはできず、用語や文章の類似度の高低による評価/判断になります。特許明細書が自然言語で記載されている以上、権利性や特許性の解釈の問題になった時に、AIに全面的な信頼を置くわけにはいかないと思うのです。

とはいえAIによって調査手法が大きく変わることは間違いありません。ではAIによって調査屋の位置づけはどうなるでしょうか?

昔は侵害調査を綿密に実施しようとしたら公報分類別冊子体を20年分全て手めくりするしかなく、スクリーニング件数は数万になる事はザラでした。それが機械検索の発達によって生死情報やキーワードによる抽出が可能になり、現在では数千件オーダーで侵害調査ができるようになりました。将来的にはAIを用いて数百件レベルになる可能性はあると思いますが、それでも最終的に人間が判断しなくてはならない事は間違いないでしょう。

確かに件数の減少によってわざわざ外注しないで済むという事態が調査屋的には危惧されます。しかしその頃には調査屋に求められるスキルが現在の検索式作成能力から例えば「化粧料の成分表」をAIに落とし込む能力へと変わっていくわけであって、専門職としての調査屋がAIによって不要になるわけではないでしょう。調査屋も時代に適応しないと取り残される、つまりAIがライヴァルというよりAIというツールをどう使うかという話なのではないでしょうか。

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