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2018年8月

2018年8月28日 (火)

<たとえ話>地雷除去

数年前に簡便かつ安価な地雷除去装置が開発されたことが報道されてネット上でも話題になりました。 「子供の遊びが人命救う発明に! 動力源いらず、風が転がしてくれる地雷撤去ボール」 ただし筆者はこれを見て、それ程大絶賛されてよいものだろうか、世間はその問題点に気づいていないのではと疑問を持ちました。

なんといっても地雷除去で一番大変なのは安全性を保障することです。つまり、ただ単に地雷を発見して処理するだけではなく、その領域を人が歩いても爆発しない事を保障しなくてはいけません。見つけた地雷を取り除いただけではダメなのです。人手であれ地雷除去車であれ「このエリアは通っても大丈夫です」という事を確認して初めて作業完了になるのです。


その観点でこの装置を見てみますと、確かに簡単な構成で地雷を容易に爆破できることはできるでしょう。しかしこの装置が通った部分の地雷は全部爆破されて人がそこを通っても大丈夫、とはとても言えそうにないです。例えばこの装置で99%の地雷を除去できるとしても、1%は地雷が残る可能性があることになり除去作業を完遂できないのです。つまりこの装置を使っても結局通常の処理作業が必要=処理していないのと同じということになってしまいます。


例えばこの装置を使って地雷をあらかた爆破して密度を減らせば、除去作業にかかる労力や時間を削減できるという可能性はあり、それならばこの装置にも大いに価値があるとは言えます。ただしその場合であっても人力や除去車による通常の除去作業を省くことはできないのです。


こんなたとえ話をしたのは、もちろん特許調査と状況が酷似しているからです。特に侵害調査で見つけたいのはまさに「地雷」特許ですが、目的とする資料を見つける事自体は容易であっても、見つけたもの以外にないと言い切るのは困難、という点でもとても似てます。現在ではAIによる特許調査も研究されていますが、見つけることは得意でも無いことを証明するツールにはなりえないでしょう。AIと人間、それぞれのできる事とできない事を見極めて協調していくことが重要だと思っています。

2018年8月 8日 (水)

検索の本質

特許調査は「あるかないかを見極める」ために「特定の領域をくまなく見る」事が重要です。ではそのためにどういう特許検索をすればよいのでしょうか、それを考える前に検索というもの自体を考える必要があります。

そもそも検索とは何をする事でしょうか。一般的なサーチエンジンによるネット上の検索では、キーワード等を用いて所望の記事、もしくは最も類似した記事を効率よく抽出する事が目的になっています。通常のネット検索では、自動的に羅列されたヒット記事を順にチェックしてある意味「気の向くところまで」探して必要な記事を得る、もしくはなかったと諦めることになっています。

特許調査の中でも例えば出願前調査のように効率よく資料を検出することが求められ、網羅性はある程度犠牲にしてもよいという調査であれば、通常のネット検索のような「効率的に見つけ出す」検索式は有効です。しかしながら侵害調査や無効資料調査のような網羅性が求められる調査には向きません。ましてやサーチエンジンが出したヒットが「全て」である保障が全くありません。

特許調査ではあるかないかを見極めるために、必要最小限の領域を設定することが必要で、そのために用語や分類等を用いた検索式を立案して母集団を作成します。つまり特許調査における検索とは効率的な抽出ではなくあくまで領域の確定のための手段と言えます。ここから考えると特許検索は「特定の用語/分類/その組合せを備えた資料を全件査読する」作業だと考えるべきなのです。

特許調査で検索でヒットした資料を全件見る、というのは逆に言えば「検索でヒットしなかった資料は見ない」という意味でもあります。前回の記事で理想的な検索について書きましたが、ここからも特許検索の本質が「見るべき領域を確定する」=「見ないでよい領域を確定する」という事がわかっていただけるのではないでしょうか。

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