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2019年1月10日 (木)

検索式コンテスト

最近、自分のSNSのTL上で請求項の作成能力を試す競技に関する話題が出ていました。このblogで以前参加した弁理士の日記念ブログ企画の主催者であるドクガク氏もクレームドラフトコンテストを開催したことがあり、自分は明細書を書けないので横目で見ていました。では特許調査の分野においてこのような企画、つまり検索式コンテストの様な事は可能でしょうか?

検索式コンテストとして、同一の主題に対して複数人が作成した複数の検索式を評価するとしてもいろいろな問題点が考えられます。

以前記事にしたように依頼元にとっての特許調査の目的は「特許性があるか」「実施可能か」「技術がどう推移したか」といったを知る事であって、「こういう資料を探したい」とうことが明確化されてない事が多いです。つまり依頼元の要望をくみ取って何を探すべきかを明確化するのが調査屋に求められる能力の「最初の」肝であって、それに基づいて調査方針を立てるのは「その次の」肝と言えます。だから「こういう資料を探したい時にどういう検索式を立式しますか?」では調査屋の技能の一面しか評価できないことになります。それに対して「どういう資料を探せばよいですか?」という点まで設問に含めると、技術常識、公知文献や引例等の既知情報によって回答が変わるため一義的な評価は不可能になります。

また評価についてはどんなキーワードが用いられているかが検索式の良し悪しと考えられます。しかしある技術分野の特許出願において特定の概念/対象についてどのような用語が用いられているかは、当業者でない限り実際にその技術分野の公報を読まないと分からないことがあります。実際の特許調査においても、スクリーニング中により適切なまたは頻出する用語が見つかり、見積時に設定した検索式に追加して調査を補完することはよくあります。キーワードの適切な選択という視点で評価すると、調査能力とは別に当該分野における特許調査の「経験値」まで評価されてしまい、公平とは言えないでしょう。

そして最大の問題は「どんな式を良しとするか」という事でしょう。その調査にかけられる時間やコストに応じて効率よく最大限にカバーできる検索式が最も良い式、というのは身もふたもない話ですが実際でしょう。同じ特許性を否定する目的であっても出願前調査の様にコストをかけたくないのか、無効資料調査のように徹底的にやる必要があるかでよい検索式は全く異なります。
また同じテーマであっても分類やキーワードを幅広くとり限定を緩くした検索式と、検索キーをより綿密に限定して調査範囲を狭めた検索式ではどちらが良いといえるでしょうか。前者であれば「より多くの公報に目を通してもらった方が安心できる」でしょうし、後者なら「本当に必要な資料だけじっくり読んでくれるので信頼できる」と思うかもしれません。もしこの両者に見積を依頼して査読件数は違うけど費用は同じだったらどちらを選択するべきでしょうか。こうなると好みの問題でしかありません。筆者はずっと前者寄りのスタンスで仕事をしてきましたが、こういうやり方に理解がある人が筆者のクライアントとして残ってきた…というのが実情かもしれません。

以上をまとめますと検索式コンテストは
・「調査テーマの抽出」は出題しにくい。
・技術分野に対する知識や経験で結果に差が出る。
・よい検索式という評価軸が流動的。
という難点があり競技としては成り立ちにくいと思われます。しかしながら特定の技術分野において前提条件を統一した上で複数の検索式を見せ合うディスカッション形式ならできる可能性もあるし有意義だと思います。。筆者の意見としては「検索式の悪い部分はすぐわかるが何が良い検索式かは決められない」というところでしょうか。

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