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2019年3月10日 (日)

2018年 書評

自分のSNS上で去年のまとめとして、読んで感銘を受けた知財系本3冊を紹介しました。(3冊しか読んでないのでは?とか著者が全て知り合いだろ!とか細かい事は気にしないでください。)僕とSNS上でつながってなくてこのblogを読んでいる方がどれくらいいるかわかりませんが、そのような方々のために今更ながらこの3冊を推薦させていただきます。

・ストーリー漫画でわかる ビジネスツールとしての知的財産 (大樹七海著)
大抵の「マンガで~」系の本では、おざなりな粗筋のマンガを付け加えただけだったり、教えたい情報をマンガに置き換えただけの事が多いですがこの本は違います。「知財の力を活用してAI碁で勝利を収める」という字で書くとなんだかわからないような話をうまくストーリー化しており、「知財」「最新技術」「ビジネス」というテーマをマンガの中で見事に止揚!しています。しかも絵は全てデジタルに描かれているという… これが単行本デビュー作とは驚きですが、著者にはまだまだ描きたいネタがたくさん有るらしくまさに脱帽するしかありません。

・こうして知財は炎上する (稲穂健市著)
まさに安定のいなぽんさんの本。今はやりの「炎上」を軸に様々な知財のトピックスを包括的に把握することができるという点で、教科書的ではなくとも教科書的に読むことができる良書です。同じ知財と言っても特許と商標と著作権では在り様も法的背景も異なるはずなのですが、それらを一つの流れとして俯瞰的に理解させる事ができる構成力と文章表現には毎度のことながら感服します。あと「歩く知財ネタ事典」ともいうべきネタの豊富さとクスッとさせる小ネタもいいですよねぇ。

・オリンピックvs便乗商法 (友利昴著)
友利氏の著作は「へんな商標?」のようないい意味で腰砕け(なにせ挿絵が和田ラジヲ!)なイメージもあったのですが、今作は打って変わってシリアスな超大作。表題で受ける印象とはちょっと違ってIOCが「アンブッシュマーケティング」というレッテル貼りによって自分達の<知財>権益を拡大させてきた手法を明らかにし、その根源にある商業主義の弊害を糾弾しています。「その筋から狙われないの?」と心配する人が続出という噂も… もっともユーモラスな文体は健在で、あっという間に読み進められます。

以上の3冊はどれも専門的な話にもかかわらず知財に詳しくない人でも読みやすくなっています。また本の出来についても「伝えたい事が明確である」「伝えたい内容を示すプロットがしっかりしている」「内容を伝えるための表現が種類量ともに豊富である」以下の点が共通しています。良い本ならこれら全てを備えていて当たり前かもしれません。でも特に知財関連の本はただ漫然と情報や知識を詰め込んでいるだけの本が目立ち、このような点を満たす本は意外と少ないと思います。それ以上に自分のblogに欠けているのがこの部分だなと痛感する次第であります。

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