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2019年4月10日 (水)

テーマ調査の難しさ ①「~に関する」は危ない

このblogで何度も書いているように、特許調査は「探す物」「探す場所」という観点から特許性調査・権利性調査・収集調査と3つにわけており、特許性調査と権利性調査ではその在り様から「探す物」「探す場所」が一義的に限定されます。それに対して「こういう技術に関する特許を集めてほしい」というようなテーマ調査の場合、「探す物」「探す場所」は任意であって調査依頼元の要望に応じて設定されます。
このようなテーマ調査では往々にして依頼元の所望する「探す物」は一言で言い表せるような簡潔な「テーマ」で示される事がありますが、実は簡潔なテーマで指示される時ほど調査が困難になるケースが多いのです。

例えば「AIを使った農業機器に関する特許」を収集する場合を考えます。このテーマ自体はとてもわかりやすく、具体的な技術のイメージも浮かんできます。では「AI」とはなんでしょうか。公報中に「AI」「人工知能」の文字が書いてあれば確かにAI技術でしょう。でも「AI」の文字が無くても検知した情報を収集解析し、それを基に判断して自律的に作動する技術であれば人工知能と言えそうです。そうはいってもフィードバック制御やファジー制御のような技術を人工知能とするのは範囲が広げ過ぎのように感じます。人工知能そのものに関する特許であれば具体的な記載があるので何らかの線引きは可能でしょう。でも農業分野への応用となると公報中にどのような用語・記載でAI技術が書かれ得るのかは千差万別で、「何が人工知能か」という定義が難しいのです。

その一方で「農業機器」についても、トラクターとか温室管理装置とか搾乳機なら一目瞭然ですが、該当するかどうか悩ましい資料も出てきます。カントリーエレベーターの様な穀物貯蔵設備が農業機械なら、収穫した野菜や果物を保存する冷蔵庫だって農業機械と言えなくはない。そうすると収納するものがカボチャか小麦粉かお惣菜かで冷蔵庫が農業機械か否かを判定するのでしょうか?または薬剤散布ドローンだって、散布場所が畑や牧場だったら農業機械だけど公園やテーマパークなら農業機械ではないということになってしまいます。やはり「何が農業機械か」という定義は恣意的になってしまいます。

このようにテーマ調査では、テーマが簡潔であればあるほど適否の線引きが難しいという事が良くあるのです。結論としてテーマはあくまでテーマであって「探す物」ではなく、検出すべき資料を明確に定義し、依頼元と調査実施者の間で事前に合意しておかないとテーマ調査はいい結果を得られない、という事になります。

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コメント

①収集調査=テーマ調査
②収集調査≒テーマ調査
③収集調査>テーマ調査

どれですか?

そこはあまり意識して区別してませんでした、すみません。

ただ、収集調査が内容調査だけでなく書誌事項調査等も含むと考えると
収集調査⊃テーマ調査 になりますね。

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