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2019年4月13日 (土)

テーマ調査の難しさ ②特許固有の難点

テーマ調査におけるテーマとはあくまで「一言で言える」テーマであって解釈に幅があるため検出条件を定義するものではない、と前記事で書きました。ではテーマの語義が明確であれば的確なテーマ調査が実施できるでしょうか。そこには特許明細書の書き方、特許の在り様に起因する特許特有の問題点が存在しています。

一例として「クリスマスツリーにLED照明を用いる技術」に関する特許公報を収集するとします。この場合「クリスマスツリー」も「LED」も定義は明確ですし、テーマが指定する技術内容もはっきりして、そこには疑問がないように思えます。

それでは「クリスマスツリーにLED照明を用いる技術」が書かれている特許資料とはなんでしょう。例えば「クリスマスツリー用にLEDを小型化した/点滅制御装置を改良した」とか「LEDを用いるためにツリーにある部材を設けた」等の記載があればその公報は正しく該当します。しかしながらLEDや制御装置の改良に関する特許で、明細書の後ろの方に一言だけ「この発明のLEDは○○、××…、クリスマスツリー等に用いる事が可能である」と書いてあった場合は該当するでしょうか?発明者が利用分野としてたまたま思いついたから取りあえず追加しただけであって、クリスマスツリーに使うことは特に想定していない可能性も大いにあります。

そんな「つけ加えただけ」の資料を除外するために、特許資料なのだから技術が意図するところが【要約】【請求の範囲】等の特定の項目に書いてあるのでは?という考えもあるでしょう。でも出願人がクリスマスツリー用に開発したLEDだが他用途にも利用可能であると見いだした場合、わざわざ請求の範囲をクリスマスツリーに限定せず出願するのはよくある事です。そうすると【要約】【請求の範囲】にはクリスマスツリーの語句が無くても、実際には「クリスマスツリー用LED」の技術に関する公報といえます。こういう公報では特定の項目だけではなく全文の記載からの判断が必要になります。

では実施例として具体的な記載があればよいでしょうか?例としてクリスマスツリーに関する発明で、実施例中に照明として「LED」と記載された公報があったとします。この公報では確かに「LEDを用いたクリスマスツリー」が例示されていますが、その記載ではLEDを用いたからこその発明がなされたのか、もしくは点光源の種類は発明に無関係で単にLEDを例に選択して説明したのかを判別することはできません。つまり「クリスマスツリーにLED照明を用いる<ための>技術」かどうかはわからないのです。

このように「クリスマスツリーにLED照明を用いる技術」というテーマの意味するところが明確であっても、公報からは「クリスマスツリーにLED照明を用いる」事が記載されているかどうか、また【要約】【請求の範囲】【技術分野】【実施例】等のどこに記載されているかを区別することが可能なだけなのです。つまり公報に記載された発明が「クリスマスツリーにLED照明を用いる」事を<主眼>にした技術かどうかは実際のところ出願人しか知り得ず、記述内容から判定することは困難なのです。

前回と今回の記事を含めてまとめます。調査テーマが簡潔であればあるほどテーマの語義が明確ではないため、また明細書がそもそも発明の主眼を読み取にくい書かれ方をしているため、適否の線引きが曖昧になり判断が難しくなります。依頼されて行う調査の場合は特に「主観的に」判断する事ができません。依頼元に、あくまで記載内容を基に摘出する作業であることを納得してもらい、要否の線引きを明確化し調査者との間で合意する事が必須である…これがテーマ調査の難しさと思います。

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